こんなサッカーシューズがあったらいいなと思っています
シューズのアッパーが変化するサッカースパイクです
サッカーシューズによって違うボールコントロール感覚
昔、部活でサッカーをやっていた時に気づいたことがあります
ボクは練習の時はサッカースパイクを履かずにトレーニングシューズでボールを蹴っていました
コーチャーというトレーニングシューズでした
なぜスパイクを履かなかったかというと、昔のサッカースパイクはポイントが金属で重かったのです
走り中心のきびしいトレーニングだったので、少しでも楽に走れるようにトレーニングシューズを履いていました
もう一つ理由があります。それはトレーニングシューズのほうがボールに回転をかけやすかったからです
おそらくシューズのアッパーの素材の差ではなかったかと思っています
サッカースパイクのアッパーは革で、つるつるしていました。トレーニングシューズは布でざらざらしています
なので、トレーニングシューズのほうがボールに回転をかけやすかったのだと思います
こんなサッカーシューズがあればいいなあ
「こんなサッカーシューズがあればいいなあ」と思っています
例えば、ボールに回転をかけたいときだけに摩擦係数が高くなるようなアッパーの形状に変化するシューズ。
特に思い切りボールをこすり上げるときにはアッパーの摩擦係数がマックスになるようなシューズです
回転をかけずに無回転のブレ球をけるときにはまたアッパー形状が変わります
ドリブルしている時もアッパー形状が変わります
これらのアッパー形状はボールを蹴るシーンに応じて自動的に変化するのが望ましいですが、
自動でなく選手のユニホームに仕込んであるボタンを押してその電波に応じてシューズのアッパー形状が変わるようにしてもいいと思います
アディダスのサッカーシューズ
「アッパー形状が変化するサッカーシューズ」
そんなことを考えていたら、すでにアディダスが考えていました
2018年7月に発行されたアディダスの特許があります
これによると新しいサッカーシューズをアディダスが開発中のようです。
シュートの時とドリブルの時、パスの時それぞれに適したシューズの形状に自動的に変わるシューズです
今日はその内容について解説します
何の特許か
サッカーシューズの特許です
特許番号は特許6364438です
実際の特許明細書はこちら(特許庁のシステムに飛びます)
アディダス特許発明の背景
特許明細書にはこのサッカーシューズを発明した背景をこう書いています
「サッカーにおいて、競技者の足は一般に、例えば試合などの非常に様々な状況でボールと接触する」
「例えば、ゴールを狙ってシュートすることを意図してボールを蹴る、他の競技者にボールをパスする、ドリブル中にコントロールしてボールをキープする、チームメートのパスの後にボールを受けるなどの可能性がある」
「今までの球技用シューズは、例えば、アッパー上にボールとの摩擦を高めることを意図したフィン状の突起部を有する構造化された表面を有し、例えば飛んでいく間にボールをスピンさせるサッカーシューズが知られている」
「しかしながら、そうしたシューズは、構造化された表面のために、ボールをコントロールすることになると最適ではなくなる」
このサッカーシューズの技術内容を一言で言うと
サッカーシューズのアッパー部分のボールが当たる部分がシュートやパスなどの場面に応じて盛り上がったり平らになったりして、アッパーの形状と摩擦係数が自動的に変化するサッカーシューズです
どんな技術なのかの説明
どんな技術かわかりやすいように、特許に書いてある図面を使って説明します
図をみるとシューズの甲の部分(アッパー)のボールを蹴る位置にライン状の盛り上がり構造物がありますね
この構造物はアクチュエーター(電動)になっています。動きます
これが突起になっていて電動で出たり引っ込んだりします
アクチュエーターは電気ポリマー、形状記憶合金、圧電素子等という説明が書いてありました
次の例です
この図では別の例として空気ポンプの例が示されています
空気ポンプの力でアッパーが盛り上がったり平らになったりします
空気ポンプの動力は選手が走ったりジャンプしたりする力で空気を圧縮するので電池が必要ないとのことです
サッカーシューズの電気制御
シューズには高度なセンサーが入っていて選手のさまざまな動きを判断します
パスなのか、シュートなのかドリブルなのかを判断します
シュートもロングシュートなのかショートシュートなのかを判断します
その判断結果に応じて、サッカーシューズのアッパーの形状を変化させます
この技術を使えば、例えばフォワードの選手がゴール前にドリブルして突入する場合はドリブルに適したシューズのアッパーの形状と摩擦係数にして、そこからシュートモーションに入ったときはシューズが自動感知して、シュートに適したアッパーの形状と摩擦係数に自動的に変化させることができます
この技術の何がいいのか
この技術を使うとシュートの時とドリブルの時、パスの時それぞれに適したシューズの形状に自動的に変わるシューズが実現できます
アディダス特許に対する感想
ボクは仕事で特許をたくさん見ています
通常、特許明細書は20頁くらいが一般的ですが、このアディダスの特許は43頁もあり、アディダスの本気度が見えます
技術内容も現在の技術で十分実用化できると思います
アッパーの調整方法
アッパーの盛り上がり方は選手によって好みがありますから、選手一人ひとりに合わせてオーダーメイドできると思います
オーダーメイドというより、パソコンかスマホをシューズに接続すればアプリで変えることができるはずです
近い将来、選手が試合中にサッカースパイクにノートパソコンを繋ぐ姿が見られると思います
アディダスが早く実用化することを期待しています